穐田誉輝 クックパット 社長が抱く野望とはなにか

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  ・穐田誉輝氏は、元々出資していたオウチーノに入ることになりました。 ・オウチーノはみんなのウェディングと経営統合する形で多角的なメディアの一翼を担います。 ・それぞれの会社は穐田誉輝氏が株を保有しており、その持ち株会社がくふうカンパニーです。  
高校野球でたとえるなら、甲子園の常連校がひしめく県の無名校に、数々の実績を残してきた名監督がコーチ陣を引き連れて就任するという状況だろうか。 不動産情報サイトを展開するオウチーノは3月29日、定時株主総会を開催した。創業者である井端純一社長は退任。昨年12月にTOB(株式公開買い付け)によって議決権ベースで57%を保有する筆頭株主となったクックパッド前社長の穐田誉輝(あきた・よしてる)氏をはじめ、3名の元クックパッド執行役、現任の取締役1名が取締役に選任された。 https://toyokeizai.net/articles/-/165377
  世の中にはエンジェル投資家という人たちがいます。エンジェル投資家は資金を供給する人を指し、株を得るだけでなく、自らが経営に参画するケースもあります。カカクコムやクックパッドなどに出資し、自ら社長として陣頭指揮をとった穐田誉輝さんもその1人です。2017年に不動産情報のサイトを展開するオウチーノの株を過半数保有した穐田誉輝さんが取締役会長となり、社長をクックパッド時代の部下をあてがう采配を行いました。 穐田誉輝さんは、投資家と経営者それぞれの顔を持つ人物です。元々起業の意識が強かった穐田誉輝さんは、会社の仕組みを学ぶためにベンチャーキャピタルの大手企業に入ります。その後、独立を果たすと自らもベンチャーキャピタルを設立することに。その時に出資を行っていたのが、「価格.com」でおなじみのカカクコムでした。このカカクコムの株を握り、穐田誉輝さん自らが社長としてカカクコム社長となり、わずか2年で株式公開に発展させます。この活躍が評価され、クックパッドの社長となるなど、かなりのやり手であることは間違いありません。 2016年にクックパッドの社長の座から退いた穐田誉輝さん。再スタートの舞台となったのがオウチーノだったのです。全国の不動産物件を掲載するサイトで、現在ではSUUMO、アットホーム、HOME’Sなどがあります。しかし、実際に掲載している物件の数はこれらのサイトと比べると半分以下、それでいて知名度も弱く、オウチーノは土俵際に追い込まれていました。これを救うべく立ち上がったのが穐田誉輝さんです。ただ当初から、穐田誉輝さんはこの会社をどのように成長させるのかよりも、穐田誉輝さんが考える多角的なメディアの形成を考えていたのかもしれません。 結果的に、オウチーノはみんなのウェディングと経営統合をします。どちらも穐田誉輝さんが株を握っている企業であり、事業の多角化を目指してクックパッド社長時代から確保して来ました。もちろんメディアが1つの専門性だけで勝負をかけるのは非常に難しいことを穐田誉輝さんは考えていたのかもしれません。ITバブルからスマホが登場するまでの間、たくさんのメディアが誕生し、それぞれのメディアで情報を提供してきました。しかし、これではどうにもならない時代を迎え、1つの専門性ではなく複合的な情報が手に入れられるメディアが求められる時代となっています。 穐田誉輝さんはカカクコムの社長を務めていた時代があります。カカクコムでは、売り上げの中で広告宣伝費が占める割合は10%程度しかなく、他のサイトを見ても広告をかけなくても多くの人にチェックしてもらい、売り上げにつながっていることがわかります。穐田誉輝さんが社長を務めていた時に比べても人件費の比率は減少しており、売り上げは増えるのに、人件費の割合が減るという状況を生み出しています。これは食べログなど多角的なメディア展開も影響しています。これを穐田誉輝さんが目指している可能性が高く、オウチーノの株を握り、経営統合につなげたのもその理由が考えられます。 穐田誉輝さんの野望は高く、カカクコムのような多角的なメディアを作り出すことです。その多角的なメディアも生活に密接したものがほとんどで、生活のために必要なものばかりです。理念に基づいたアクションを起こし続けており、穐田誉輝さんがやっていることは、生活の在り方を大きく変えるかもしれません。あとは、どれだけ理想的な状態で実現できるのかですが、穐田誉輝さんならばすぐに形にできそうな感じもします。新たな時代に通用するメディアができるかどうか、注目です。